クレジットカードの磁気ストライプ

最終更新:2021/2/1

国内で発行されるクレジットカードには表と裏の両面に磁気ストライプがはられており、それぞれ規格が異なります。うら面の磁気ストライプは国際規格によるもので「JISⅠ型」と呼ばれます。おもて面の磁気ストライプは日本の規格によるもので「JISⅡ型」と呼ばれます。

JISⅠ型・うら面の磁気ストライプ

ISO/IEC 7811・ISO/IEC 7813・ISO/IEC 4909、JISではJIS X 6301とJIS X 6302により定められています。

  • Track 1
    英数字79文字・IATA*1・ISO/IEC 7813
  • Track 2
    数字40文字・ABA*2・ISO/IEC 7813
  • Track 3
    数字107文字・THRIFT・ISO/IEC 4909

上記3つのトラックがありますが、現在流通する国内発行のカードではTrack 3はほとんど使用されておらず、磁気ストライプの幅を狭めたTrack 1/2のみのカードが多くを占めます。

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【左:Track 3まで存在するカード 右:Track 1/2のみのカード】

JISⅡ型・おもて面の磁気ストライプ

現在ではJIS X 6302-2の「附属書 JA (規定) おもて面磁気ストライプ付き識別カード」により定められています。トラックは1つのみで、英数字72文字が記録できます。JISⅡの磁気ストライプは券面印刷の下に隠されているカードが多いです。

国内で発行されるクレジット・デビット・プリペイドカードやキャッシュカード、ポイントカードなど多くの磁気カードで利用されていますが、最近では国内発行のクレジット・デビット・プリペイドカードでもJISⅡを搭載しないものが現れています。

クレジットカードのフォーマットでは、流通決済事業者コード *3 が記録されており、古い決済端末ではカード会社の判別・仕向に利用していたようです *4。POSクレの伝票で印字される場合がありますが、IC化に伴い見られなくなりつつあります。

JISⅠ型・JISⅡ型ができた経緯

※あまり情報がなく、正確ではない箇所があるかもしれません。

JISⅡ型は、元は1972年に銀行間で使用されるキャッシュカードのおもて面磁気ストライプの統一規格として策定されました *5。これはキャッシュカード用の規格でしたが、クレジットカードの磁気ストライプに関しても、同じようにおもてにはることとしました *6

その後1976年にISO 3554でうら面磁気ストライプの規格が定められましたが、すでに日本国内ではおもて面の磁気ストライプカードが主流となっており統一が困難であったため、1979年発行のJIS規格 (JIS B 9560→JIS X 6301/JIS B 9561→JIS X 6302 *7 ) ではISOの規格をJISⅠ型、おもて面の磁気ストライプカードをJISⅡ型として両方を収録する形となりました。

1998年の改定では、JISⅠ型が標準規格、JISⅡ型が標準規格の附属書という扱いに変更され現在に至ります。

参考

JISⅠ関連

JISⅡ関連

*1:国際航空運送協会

*2:米国銀行協会

*3:詳細:決済端末の端末識別番号 (TID) - 備忘録用

*4:現在ではBIN (カード番号頭1~6桁) を用いてカード会社の判別や仕向を行う場合がほとんどです。

*5:銀行統一仕様と呼ばれるようです。

*6:NTT規格と呼ばれるようです。

*7:1987年のJISの部門 (情報処理) 新設により規格番号が変更されました。